小説とか | 週刊少年生理ブログ

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ばかまん。
さっき、臭人に会うまで僕は人生を諦めていた。
同世代の周りの人間は、もう終わり方の見えた生き方を選択していた。
子供を育て、給料を運んで、あとは老後を迎えて、死ぬ。
幸せだったとか言いながら死ぬ。
人生は幸せだって思えば、いろんな幸せの辻褄を探せるだろう。
不幸だって思えば、不幸の理由なんていくらでも探せる。
そんなもんは大体が気の持ちようだ。
幸せだったと言わなきゃいけない世の中なんだ。
最後に幸せだったと、言い訳しなきゃ
生まれてきて、さんざん苦しんで、死ぬ意味もわからない。
どんな人生を歩んだにせよ
死ぬ時は幸せだったなんて誤魔化しながら逝く。
最後の最後まで人間は嘘をつくように出来てるもんさ。
僕は、みんなのように強くない。
誰かの人生の責任を負えるほど大人じゃない。
ただ、自由でいる為の対価は払うつもりだ。
だからこそ、全てを諦めるつもりだった。
ささやかな幸せとやらも
真っ当な人生も
家族みたいな紐帯も
人の温もりみたいなものでさえ
今の今まで、ずっとそう思っていた。
…でも、30を過ぎても
40を過ぎても
50になっても…明日死ぬとしても
人は…人は何かを掴もうとしても構わないのなら…
何かを本気で願っていいなら
僕は、この手に掴める全てのものを
掴んでやりたい。
どんなに無様で、みっともなくとも

せめて手を伸ばすだけでも。
行動を起こす前に勝手に諦めていた
全てのモノを…僕は…
ねぇ、K村さん
僕は、これから
君に…君に手を伸ばしてみようと思う。
例え、この手が届かなくても。
僕は、神様の計画を信じる。
これには、きっと意味がある。
僕にだって、ひとつくらい
生きる理由が欲しいよ。
さぁ、今から描こう。
何ができるかわからないけれど。


JUGEMテーマ:小説/詩
 
| 小説とか | 12:23 | - | trackbacks(2) |
ばかまん。13

僕にはやっと意味がわかった。
何故、下痢が僕の前に急に現れたのか?
何故、こんな突拍子もない提案をしてくるのか?
何故、たまたま今日、僕がノートを忘れたのか?
何故、僕が、こんなに漫画が好きだったのか?

全ては…
そう全てはK村さんと結ばれるため。
僕は、その為に生まれてきて
その為だけに今までの時間を積み重ねてきたんだ。
これは神様の計画だ。
神様が僕の為に用意してくれたロマンティックな計画なんだ!
こうなることは初めから仕組まれていたんだ!
だったら、もう僕に迷う理由はない。
「…わかった。やろうじゃないか。やってやるよ。その代わり、やるからにはお互い本気でやろう。…ただし、ひとつ条件がある」
僕は下痢の目から一ミリもたりとも視線を外さず、そう言った。下痢は相変わらずいやらしいニヤケ顔で、こちらを小ばかにした様子で覗き込んでいた。
「条件?」
「あぁ、僕が同人誌を描き上げて、とりあえず…そうだな…100部完売したら…その時はK村さんとの合コンをセッティングしてくれ!条件はそれだけだ」
下痢は、今日初めて声を出してゲラゲラ笑った。僕は下痢がこんなに笑っているのを見るのは、小中学校時代を通しても初めてだった。下痢は笑いながら
「ホーケイ!ホーケイ!了解したよ、おやすい御用さ」
と言って僕に右手を差し出した。僕は、それをしっかり握り返した。下痢は、さらに力を入れて手を握り
「俺は金を、君は金と女を手に入れるために!世間のクズどもをあっと言わせてやろうぜ!YES WE CAN!よろしく頼むよ!サイテーくん!」
と、握手した手をブンブン上下に振った。
「サイテーって?どういう意味だよ?」
僕は、ちょっとムッとして聞き返した。
「フフ…君、いつも勃起してるからさ…派遣の女の間じゃサイテーって呼ばれてるんだよ。今日から君はサイテーだ!いいじゃないか!これから登る一方って意味だよ!素敵な名前だろ?これPNにしよう!」
そうニヤニヤ笑いながら下痢が言うので、僕は力一杯手を握り返して
「…じゃあ、お前は体臭きついし、さっきから口がコーヒー臭いので臭い人で臭人(しゅうじん)ってので、どうだ?っていうか、決まりだな!今日からお前は豚の臭人だ!」
と僕が言うやいなや下痢は、今度は両手で僕の手を更に強く握って
「いいな!じゃあ、俺達はサイテーと臭人だ」
と顔を真っ赤にして鼻息荒く切りかえしてきた。
そして、僕は、この日から臭人と一緒に神様の計画に従って同人漫画を描いてみようと決意したのである。

JUGEMテーマ:小説/詩
 
| 小説とか | 12:12 | - | trackbacks(2) |
ばかまん。

やっぱり僕は、そんな面倒臭いことに首をつっこむのはごめんだと思った。
大体、リスクはないというものの時間を費やして何も成果がない、
何も得られないのであればやる意味がない。

絶対に大丈夫という保証が欲しい…嗚呼、これが下痢の言ってる「クズの論理」って訳か。
いや、しかし保証がないなら動けないって大概の人間はそうじゃないのか?
大概の人間がそうだからこそ、行動することに意味があるってことか…。

…しかし…

「…なぁ、君、ウチのK村のこと好きだろ?」

下痢は突然、そう切り出した。
晴天の霹靂とは、よく言ったもので
まさに、僕は雷にでも打たれたみたいに
急に心臓が痛み出し、頭と体が別になるというか
思考だけが体の外に飛び出した感じとでも言おうか。
世界中の恥ずかしさを全部集めてしまったとでも言おうか。

とにかく、僕は全身の血が、顔に昇って来るような、そんな感覚を覚えた。

…この『ウチの』っていうは派遣社員のという意味だ。

あぁ、恥ずかしげもなく言ってしまえば
僕は、工場で働くK村さんを初めて見たときから
もう既に心どころか魂までも引っ張られて
『前世で恋人どうしだった』
なんていう話を、なんの疑いも持たずに信じれるくらい好きだ。
きっと生まれ変わっても、また好きになる。

光に浸されて逆光で目が眩むような
渺茫の果て、彼岸の向こう
そういった世界のどんな場所でも、どんなに遠くにいても
僕には、その姿がハッキリ見える。

触れてしまったら
世界丸ごと崩れていってしまうような

世界中のどんな言葉を集めても
君を形容しきれないような

こんなにも形がしっかりと見えているのに
その輪郭さえ掴めない
そんな人だよ、K村さんは!

夢と現実が結婚して生まれてきたのが彼女。
夜の空に虹がかかって
冬の日に空から星が降ってくる
辺り一面ダイヤモンドさ
そんな人だ、K村さん!

…いや、一度も話したことすらないんだけど。

とにかく、僕は一目惚れの片思い中なのは確か。
斜に構えて、世の中を
ニヒリズムとリアリズムで割り切ってみせようなんて言いながら
こいつは、どうにも割り切れない。

おっと、今はそんなことを言ってる場合じゃなくて
どうして、こいつが僕の誰にも言っていない
絶対に知られてはいけない秘密をしっているかってことだ。

僕は勇んで、凛として問い詰めるつもりではいたのに
実際は、下唇がワナワナして、どうにも動揺を隠せない様子のまま

「…え?…え?…なななんで?」

と聞いてみた。

下痢は今日一番の憎たらしくて野暮ったくて下品で、ほんと、
糞だって、もっと可愛い表情するんじゃないかくらいのニヤケ顔で

「…だって君、仕事中にK村のことばっか見ては、すんげー勃起してんじゃん」

と答えてみせた。

…そうだ。
僕はK村さんを見ると、すごい勃起してしまうんだ。


JUGEMテーマ:小説/詩


| 小説とか | 12:35 | - | trackbacks(0) |
ばかまん
「お互い『小学生の時が人生のピーク』なんてことにはなりたくないだろ?…というか、なってはいけない。悪例であってはいけないんだよ。臆することなどない。絶対に大丈夫。君なら大丈夫と俺が決めたんだから間違いない。そもそも、そんな臆することもない。君は知らないだろ
うが、同人なんて、あんなもんは絵の下手なヤツなんていっぱいいるぜ。君のノートのラクガキでも充分通用するよ。こんなのはさ、絵がどうこうって話じゃなくて、『俺とウマが合うかどうか』が問題なのさ。要するに一緒にやれるかどうかだな。だから、俺は君を選んだんだよ。いいか?これはお互いにチャンスなんだ
。リスクなんてない。モトデだってかからないだろう?君は、絵を描くのが好きなんだろうし…躊躇う理由がない。とりあえず描いてみようぜ?」

下痢は、いくぶん落ち着きを取り戻した様子だった。

なんとなく、下痢の言ってることも一理あると思い始めた僕だったが
まず、第一に下痢が癇に障る人間であると言うことと、
次に本当は何かを企んでいるんじゃないかという疑いが拭えないこと。
そんな理由から、僕は下痢を見つめたり、目を背けたりを繰り返しながら、しばらく考えていた。

確かに今は思い描いた未来とは遥かに掛け離れた現実の中にいる。
それはある意味、僕が何の行動も起こさずに、ただ流されてきた結果なのだろう。
僕は、今まで死ぬほど努力をしたとか必死に何かに抵抗した覚えはない。
ただ、ダラダラ流れてきた。
春の陽だまりに似てるという多幸感も味わったこともなければ
自分の心がなくなるくらいつらいという喪失感も抱いたことはない。
挫折も経験がなければ、立ち直る喜びなど想像もつかない。

まぁ、可もなく不可もなく生きてきたつもりだ。
とにかくレベルの低い学校や職場に身を置くことで
僕は、なんの努力もせずに
充分な自尊心を保てるし、おまけに賞賛される。

口は悪いが
ビッコ連中の集団に入っていって、俺は普通に歩けるぞと
声高に自慢しているのが、この僕って訳だ。

全く努力をしてこなかった…という訳ではない。
が、まだまだ余力があった。
要するに僕の頑張りなんてのはゲームや遊びの合間にやる程度のことであって
死ぬほど何かに打ち込んで最終回には真っ白な灰になるような
そんな生き方は出来るはずもないと思っている。

才能があるものがすることを努力といい
才能がないものがすることを徒労という

これは、真理だ。

若い頃、この言葉を知ったとき
僕は、徒労はしたくないと思った。
徒労とは非効率極まりない愚者の行いだ。
生産性もクソもない。

だから、僕は、徒労とわかっていて
何かに打ち込むなんてことは
とてもする気になれないのだ。

僕は、路傍の石以外の何物でもないのだから。


JUGEMテーマ:小説/詩


| 小説とか | 12:44 | - | trackbacks(0) |
ばかまん。
気圧された僕はしばらく黙ってしまっていた。
ただ、なんとなく下痢の言っている言葉が
僕の気持ちの奥底で燻っている何かを
ひどく煽っているような…そんな気がした。

煮え切らない僕に苛立ちを募らせた様子の下痢だったが
今度は一転して優しい口調で語り始めた。

「…覚えているかい?中学校1年生の時、君は超難関と言われた芦野先生の国語のテストでさ、学年で唯一100点を取っただろう?夏には弁論大会にも出てたな。新聞に詩も掲載されたっけな。小学校の時は児童会の会長に運動会では応援団長。学芸会の劇では主役を演じ、自由研究なんかでも大会に出てたね。絵画や作文でも何度も表彰状を貰ってたじゃないか。素晴らしく優秀な生徒だな!立派な成績じゃないか!小学校の卒業文集で書いた君の夢、『学校の先生』って書いてあったよ!なぁ、そんな君がだよ。今はこんな町工場でライン工ときたもんだ。さて、あの頃を知る皆は、どう思うかな?もっとも君は中学のとき、あんなことがなかったら随分違ったんだろうけどね」

僕は、またすぐにカッとなった。もう随分と昔に忘れていた『あんなこと』を下痢が面と向かって僕の前で口にしたからだ。しかも侮辱的に。
と同時に下痢が僕のことを以前から気付いていて、調べて、監視してんじゃないかという考えが頭をよぎった。
随分、僕の過去に詳しいからだ。きっと、文集だの何だのひっぱり出したとか…それでも少し詳しすぎやしないか?それとも本当にあの頃の記憶が、きちんと残っていたりするんだろうか…。

「…お前に言われる筋合いはないよ。俺らの学校なら誰もがお前を天才だといっていたのに、なんでお前が派遣社員で、こんな町工場に来てるんだよ!」

僕は感情的に問いただした。

下痢は、また先程から何度となく見せるイヤミったらして憎憎しい皮肉染みた微笑を浮かべると

「…そりゃあ、派遣社員なんて世を忍ぶ仮の姿さ…」

と真顔で答えた。
やっぱり本物のキチガイなんだろうか?そんな台詞、現実で聞けるとは考えてもみなかった。
下痢は話を続けた。

「いいかい?世の中は圧倒的に間違っているんだよ。何故か、わかるかい?それは、君や俺のような優秀な人間を、この社会が認めようとしないからさ!いいか!俺らみたいのが、こんな町工場で燻っていること自体が世の中が間違っているという紛れもない答えなんだよ!証明されてんだよ!周りを見てみろ!愚にもつかない馬鹿ばっかりじゃないか!低脳な連中が金握ってやがる!本来は俺が持つべき金を、だ!そんな口の臭い連中の命令にイエッサーで仕事するんだぜ?猿でもできる仕事さ!あんなもんは仕事じゃない!罰だよ!罰!受刑者にでもやらせとけ!わかるかい?間違ってるだろう!こんな世の中は!」

下痢は、先程よりも更に激しい興奮で、そうまくしたてた。
僕の顔にツバが飛んできていた。


JUGEMテーマ:小説/詩


| 小説とか | 12:40 | - | trackbacks(0) |
ばかまん。

素人が描く漫画で70万円の純利益…!?
にわかには信じがたい話だった。
仮にそれが事実だとしても、僕にそんなに売上ることができるモノを描けるとは到底思えない。
一体、何の企みがあるんだろう?

「言っておくが、俺は漫画なんて、ちゃんと描いたこともないし、描き方も知らん。それに、お前が見た通り、俺は絵が下手だ。美術の成績だって2だったよ。他を当たってくれ。俺より上手いヤツなんてゴマンといるんだから」

僕は半ば呆れていた。
それに諦めてもいた。
こいつが誰に何を吹聴しようと、そんな大袈裟なことではないように思えてきた。
同じ小学校、中学校と通っていた大して仲良くもない知り合いが、
僕の弱みを握って全く意味不明な要求をしてくる。
言ってることが、まともじゃない。
こいつは、この15年もの間にすっかりキチガイになってしまったんだ。
付き合っていれば、こっちも何かしらの事件に巻き込まれる日がくるだろうよ。

下痢は、黙って俯くと、顔を何度も横に振ると、全然わかってないなとも言いたげな顔持ちで

「金が欲しくないのか?」

と僕の目を睨みつけるように見据えると、そう聞いてきた。
何か気迫のようなものを感じ、つい、僕は視線を逸らしてしまった。
僕はすぐに我に返り、舐められたらお終いだと負けじと睨み返し

「欲しくないわけじゃないが、お前の話に付き合うのいやなだけさ」

とハッキリとした口調で、充分に不快感が伝わるような物言いを意識して答えた。

お互いしばらく黙って見詰め合っていた。
下痢は少しハッって鼻で笑ったように見えた。

「…世の中には理解に苦しむ人種ってのがいるもんさ。ちょうど今の君のようにね。いいかい?目の前にチャンスがる。でも、君はそれをみすみす見逃そうとしている。これを、まともな思考を持った人間が理解できるかい?いいか?ここで行動できる人間と行動できない人間で、人生ってのは変わってくるんだよ。…クズってのは、決定的に行動が出来ない人間なのさ。ありもしないリスクに怯え、自分を過小評価し、やりもするまえからできやしないって言い訳するのがクズの生き方なんだよ。言い訳する為に生まれてきたのさ、クズってヤツはよ!いつだって逃げることばかり考えてやがる!やる前から失敗したときの言い訳考えてんのさ!何を怯える?何が怖い?とりあえずやってみて、出来なきゃやめりゃいいだろ?い・ま・この時点で君に何のリスクがある?俺が怖いかい?馬鹿げた提案だとでも?…いいや、俺は少なくとも、少なくともだ、失敗や負けるために何かをしたりはしない。それに、こんなこと言っちゃあ、アレだが、仮に俺が稀代のワルで、人を騙すのが趣味のロクデナシだとしても騙すにしたって『人を選ぶ』さ!…要するに君なんか騙したところで、俺には毛ほどの愉悦も得られやしないって話だよ!」

下痢は顔を真っ赤にしてツバを撒き散らしながら喚いた。

僕は、その鬼気迫る様子に、つい圧倒されてしまった。


JUGEMテーマ:小説/詩


| 小説とか | 12:29 | - | trackbacks(0) |
ばかまん。
「俺と一緒に同人誌をやらないか?」

と、下痢は突拍子もないことを言い始めた。

確かに僕はヲタクだ。アニメやゲームに少しは精通している。
勿論、同人誌というものの存在は知っていたが
格段の興味もなかったし
買って読もうという気には更々なれなかった。
まして、発刊する側になろうなどとは…そんな発想すら浮かばなかった。

「なんで、そんなことしなきゃならんのだ!」

僕は先程のやり取りから、随分と苛立っていたので
怒鳴るような声で、下痢に尋ねた。

「…まぁ、そうカッカしなさんな。そりゃあ、なんてったって君、金になるからだよ」

金?僕は一瞬聞き間違いかとさえ思った。驚いて

「…金になるのか?」

と聞き返した。下痢はいかにもイヤミったらしい、人を小ばかにしたようにフッと鼻で笑うと

「…なるなる。そりゃあ、もう、すっごい金になるよ。君のような俗世に疎い貴い身分の方でもコミケって言葉くらい聞いたことがあるだろう?いいかい?大きいコミケの時には反社会的な若者が徒党を組んでヲタク狩りってのを実施するんだ。客を襲う訳じゃないよ。出品者の方を狙うのさ。コミケが終わった後にね。なぜかわかるかい?しこたま売上があるからだよ!この法治国家日本、警察の検挙率も世界トップクラスの日本でだよ? 強盗されちまうくらい同人誌ってのは儲かるのさ!しかもだよ、聞いてくれよ。あまりにもヲタク狩りの被害に遭う人間が多くてさ、 ヲタクの連中も頭をひねって考えたもんさ!どうしたと思う?傭兵をやっとんだよ! 金払って、コミケの帰りにボディーガードしてもらうのさ!この法治国家日本で一般人が!傭兵雇うなんて最高だろ?やつら傭兵団に鷹の団とかラウンズとかロスローリアンとか名前つけるのさ! 傑作だね。一番、強い傭兵は傭兵王のカシューさ!幻想的だよな!ファンタジーだよ! あいつら生きてる世界が違うのさ!ともかくだよ、それくらい儲かるって話だよ!」

下痢は、興奮して早口で、そう捲くし立てた。
手振り身振りを加えながら鼻息荒く話していたが、
喋ってる自分にどんどん陶酔していくようで
話を追うに連れ、早口になっていった。
最後の方など、ほとんど聞き取れなかったくらいだ。

具体的にどれくらい儲かるのかさっぱりわからなかった僕は

「…よくわかんないな。結局、そのコミケってやつでどれくらい利益が出るのさ?」

と訝しげに尋ねると、すこし落ち着きを取り戻した下痢は、ふーっとタメ息のように息を吐くと

「知り合いの後輩が、1回のコミケで70万の純利益が出たって言ってたよ。その日に風俗をおごってもらったから、まんざらフカシでもないと俺は思っているがね」


JUGEMテーマ:小説/詩


| 小説とか | 12:17 | - | trackbacks(0) |
ばかまん。
僕はしばらく下痢の意図や目的などを考えようと努めたが
考えても埒があかないと思い

「な…中身を…みたのか…」

と聞くと、下痢は今までに見たことがないくらいの
下品でいやらしい笑顔を浮かべて

「お恥ずかしながら」

と言って頷いた。僕は、下痢のその『オハズカシナガラ』という
余計な一言に心底怒りが湧いた。
おそらく顔が真っ赤になったと思う。耳が熱かった。

「返してくれ」

僕は少し語気を荒げて下痢に迫った。
その間も下痢は両手で僕のノートをヒラヒラ揺らしていたが
揺らすのを辞めると

「…もちろんさ」

と、また、いやらしい顔でニンマリとして答えた。
僕は、さらにカチンときたので、ツカツカと足早に下痢に近寄り
乱暴にノートに手を伸ばしたが、下痢は万歳するみたいなポーズでノートを上げると

「…ただし、条件がある」

と、三度、あの忌々しい糞みたいなニヤケ顔を覗かせて、そう答えた。

僕はノートを取り返そうと伸ばして空振った手で拳を硬く握っていた。
今にも下痢を殴りそうだった。
体が震えるくらい何かに対して怒りを覚えたのは、もう十数年記憶にないことだ。
殺したいとさえ思った。

でも、もう一方で冷静にどんな要求がくるのかを考えていた。

金か?
あの落ちぶれた下痢の身なりをみるに
おそらく金に困っているはずだ。
金などないし、まして借金をしてまで
こんな糞の脅しに乗ってやる必要はない。
今でさえ、職場では浮いている感があるのだ。
どんな噂が広まろうと(広がらないに越したことはないが)
知ったこっちゃない。
言うなら言え!
僕は少しもお前など怖くないぞ。

そんな風に思考を巡らせていたのだが
下痢から出された条件は、意外なものだった。

「…俺と一緒に同人誌を出さないか?」



JUGEMテーマ:小説/詩


| 小説とか | 12:21 | - | trackbacks(0) |
ばかまん。
下痢とは実に16年ぶりくらいの再会だった。
再会というか…同じ会社にいることは風の噂で知っていたし、
何度か遠目で下痢のことを見ていたんだ。
だから、一目でそこに座っているのが下痢だと気付いた。

だから正式には再会ではないが、こうやって面と向かって話したのは16年以上昔に遡る。
…というか、もしかして話したのは、その日が初めてだったのかも知れない。
下痢は学校でも目立つ存在だったので、こっちが勝手に見知っていたから
話したことあるように思えてしまっていたが、実際は、ほとんど接点はなかったのだ。

下痢が勉学において成績がズバ抜けて優秀なのは、
同学年なら誰しもが知っていることだった。
詳しくは知らないが、勉強を全くしないでも常にトップクラスの成績で
いわゆる天才と言われるタイプの人間らしかった。

よく天才と何とかは紙一重などというが、
彼の場合、まさにそれで
成績が優秀なのよりも、度を越した奇行の方がむしろ皆の関心を集めていた。
授業中に小便を撒き散らしたり
学校の階段で突然脱糞してみせたり
その行動は常軌を逸したものだった(…らしい。直接見てはいない)。

しかしながら、とても気さくで、ひょうきん、人当たりもよく
話が面白い上に、かなりの美男子だった。
頭がよい癖に馬鹿なことばかりするもんだから
成績優秀な人間特有のイヤミがなく
男女問わず人気があった。

とにかく目立つ存在だったのだ。

…そんな彼も、こんな場末の町工場に派遣社員として勤務している。
この16年間、彼に何があったのかは知る由もないが
少なくとも今の彼の風采には、かつての人気者の面影はなかった。

一目でわかるユニクロファッション。
しかも、ずいぶん着古しているらしく毛玉やほつれがところどこに見えていた。
顔は、歳以上にふけてみえるし、薄気味悪い煤けた笑顔の奥には
ずいぶんと疲れがたまっているんじゃないか?という印象を受けた。
髪はボサボサで無精ひげ。
フレームの細いめがねをかけ
体は随分と華奢だが腹だけは服の上からでもぽっこり出ているのがわかった。

僕は、しばらくどうしていいもんか考えあぐんでいると
下痢の方から

「…どうしたんだい?黙って…ホラ、これを取りに来たんだろう?グフフ」

そう言って座った長机の下のラックから僕のノートを取り出し
両手でノートを表紙が僕に見えるように顔の高さまで持ち上げ、ニ、三度揺らしてみせた。

僕の嫌な予感は的中した。



JUGEMテーマ:小説/詩


| 小説とか | 12:25 | - | trackbacks(1) |
ばかまん。
僕は焦っていた。

講義が終わって、そのまま家に帰ったのだが、
講義の教科書とノートを会社に忘れてきたのに気付いたからだ。

教科書はなくなろうが一向に構わないが、あのノートは人に見られてはまずい。

僕は確かにアニメが好きだしゲームも好きだ。
もっと言うなら、美少女アニメも嗜むし、美少女ゲームも嗜む。
しかし、僕はそれらを大々的に会社の皆様へお伝えするつもりは毛先ほどもない。
むしろいちばん知って欲しくない連中じゃないか。

僕は言われたことはきちんとこなす寡黙で真面目な社員でいいのだ。
余計なレッテルは要らない。

体裁は大事だ。
僕は他人に馬鹿にされるような要因がひとつでも増えることを心底嫌う。
というか許せない。
学生時代に虐められて育ったのだから、僕は人一倍、衆目を気にして行動する性質なのだ。
だから、仮にあのノートが心無い木偶の坊に見つかって
陰でコソコソと馬鹿にされるのは我慢がならない。
僕は、速やかにノートを回収し、何事もなかったように、またこの部屋に戻り
1日の疲れを無料エロ動画サイトのサンプルでも見ながら
華麗にヌいて、安息し、充実感を噛み締めて、今日という日を無事に終える。

まぁ、普通に考えても僕のノートを誰かが覗くとも思えないが
念には念を押しておいて損はない。

僕は、走って会社に戻り、息を切らしながら
先程まで講義が行われていたホールに戻った。
椅子や長机は、まだ講義が行われた時の状態のまま並んでいたが
男が1人、ちょうど、僕が座っていた席の長机の上に腰掛けていた。

…見覚えのある顔だった。
窓から滑り込む夕日の逆光で、
ほとんど黒い銅像みたいなシルエットしか見えないのだが
それでも、見覚えのある顔だとひと目で分かった。
…と、同時にひどく嫌な予感がした。

どうして、この男が僕の席に座っているのか。
なんとなく、それがよくないことであると
僕は直感で感じ取っていた。

急いで走ってきた僕の胸は激しく脈を打っていたけれど
男の姿を確認すると、それに輪をかけるように
狂ったみたいに心臓が悲鳴をあげて騒ぎ立てた。
僕は、カラカラに乾いた口が、まるで砂にでもなるみたいに
もっと乾いていくのを感じた。

束の間の沈黙が流れ、黒い影は、低く通る声で、こう切り出した。

「…グフ、グフフ。…ひさしぶりだね。戻ってくると思って待っていたよ」

彼の名前は、下痢 垂雄(げり たれお)
…同じ小学校、同じ中学校に通っていた同い年の知人だった。



JUGEMテーマ:小説/詩


| 小説とか | 12:03 | - | trackbacks(2) |